教育現場で役に立つ、生成AIを活用したサービスを提供したいと考えているものの、どのように始めればよいか分からない方も多いのではないでしょうか?
生成AIは今や何でもできる便利なツールになりつつある一方で、適切な導入・活用方法が不明確なままサービスを企画・開発すると、ユーザーのニーズに合わない結果を招き、効果的な運用ができず失敗することもあり得ます。
この記事では、AI活用における具体的なステップとポイントを明らかにし、教育現場での活用を成功に導くヒントをお伝えします。
AIの導入ステップ
1.目的の明確化
まず、AIを活用する目的を明確にしておきましょう。
AI活用は目的ではなく手段であるという前提に立ったうえで、「何のために、どのように、AIを活用したいのか」を考えます。
例としては次のようなものが挙げられます。
・学習進捗の可視化
・一人ひとりにあった教材の提供
・個別・集団カリキュラムの作成
2.学習データの収集と管理方法
次に、学習や業務に必要なデータを適切かつ効率的に収集・管理・運用することが重要です。その際、次の3つを明確にしておきましょう。
①解析に必要なデータを特定
ユースケースに応じてAIが最適な応答を行えるようにするには、収集データの定義や粒度を細かく設定することが大切です。ただし、データ項目が細かすぎると管理が負担になるため、目的に応じて管理・運用できるようにバランスを考えることが必要です。
②収集方法を決める
どのような手段やツールでデータを収集するのかを明確にします。
例えば、学習管理システム(LMS)を使って自動収集したり、紙の資料を収集して手動でデータベース化したりするなどの方法が挙げられます。
③管理・運用方法を決める
収集したデータを効率よく、そして安全に管理・運用することも大切です。
アクセス権限の設定や匿名での管理方法にするなどのセキュリティ対策を講じることで、プライバシー保護を徹底しましょう。
これら3つの項目は、冒頭でご紹介したAIを活用する目的が明確であれば、必要最小限のデータのみを収集・管理することができ、管理の負担軽減にもつながります。
3.AIツールの選定と実装
次に、適切なAIツールを選定し、システムを実装します。
様々なAIツールが存在するため、どれを使えばいいのか悩むかもしれません。
そこで、冒頭でお伝えした生成AIを活用する目的に立ち返りながら、生成したいものの精度や品質、コストと費用対効果などの観点から、最適なツールを選定しましょう。
また、実装の際にはユーザーが負担なく利用できるUI・UXを設計しましょう。システムの試験運用を行い、必要に応じて調整を加えることも欠かせません。
4.AIのトレーニング
AIを効果的に活用するためにはトレーニングが必要です。例えば、AIが個々のユーザーに合わせた教材をレコメンドできるようにするには、予め想定される個々のユーザーの学力や特性と、関連する教材データの特徴を紐付けする必要があります。
また、想定利用シーンに基づいてシミュレーションを実施し、AIの精度や有用性を確認・調整することで、ユーザーにとって最適な回答をAIから提供できるようになります。
導入・運用におけるポイント
AIに常にデータを学習させ続ける
学習させるデータが不十分だと、どんなに優秀なAIツールを使っていても目的は達成できません。また、時間の経過とともにユーザーの学力なども変化していくため、ユーザーから収集したフィードバックを基に、インプットの仕方を調整するなどの機能改善を継続的に実施する必要があります。
誤った情報発信を防ぐ
偽情報発信(ハルシネーション※)によって誤解を招く情報をユーザーが受け取り、信頼性の低下を招く可能性があります。
そのため、予めネットからの外部情報を引用してこないようにする設定にしたり、AIの応答を監視しながら、アウトプットの仕方に問題がある場合に都度修正したりすることが重要です。
※ハルシネーションとは:AI(人工知能)や生成モデルが、誤った情報や現実に存在しない内容をあたかも正確であるかのように出力してしまう現象のこと。
AIの能力を最大限に引き出すには、上記でご紹介したステップを踏んで最適な運用方法を講じることと、AIと伴走しながらより良い方向に導くことが重要です。
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