デジタル教材を初めて開発する際、「何から始めれば良いのか」「どのような流れで進めていくものなのか」という疑問から、計画の段階でつまずくこともあるのではないでしょうか?
外注する場合でも、自分たちが必要とする機能や開発の目的をベンダーに対して明確に伝えるために、開発プロセスをある程度理解しておく必要があります。
そこで今回は、開発の基本プロセスと重要なポイントについて解説します。
プロジェクト全体の流れや各プロセスの目的を押さえておくことで、ベンダーと円滑にコミュニケーションをとることができ、質の高いデジタル教材を開発できますので、ぜひご一読ください。
開発プロセスの基本
開発は次の6つの手順で進めていきます。
1.企画立案
企画を考える際に大事なのは、コンテンツを作る目的を明確にすることです。
そして目的を決めるうえで次の2点が具体的になっていると、実用性が高く魅力的なコンテンツになっていきます。
・ターゲットユーザーのペルソナ
・課題解決方法
・利用シーン
ターゲットがどんな人で、どんな課題解決を望んでいるのか、またどのようなシーンで利用するかを具体的に設定しましょう。
2.要件定義
次にデジタル教材に必要な要素を洗い出します。この後の工程では、基本的にこのフェーズで定まった要件に従って進めていくため、開発の軸となる重要な工程になります。
この工程で決める具体的な要素としては、次の2点があります。
・必須機能:問題演習機能、動画再生機能、進捗管理機能 など
・利用環境:デバイス、プラットフォーム(スマホアプリ、webブラウザなど)
この時、どんな要素があるといいのか迷ったときは、必ずユーザー視点に立ち返りましょう。ユーザーの利便性を考慮することで、自然と開発の方向性が定まってきます。
3.仕様策定・デザイン制作
画面ごとの構成や画面遷移・動作の方法など、目に見える部分を具体的にする工程です。
実はこの工程の中で新たなアイデアが出てきたり、予算や技術上の制約から実現が難しく計画変更をしたりすることもしばしばあり、スケジュールが遅延しがちなフェーズです。
そのため、この工程については予めスケジュールを長めに引いておくことが一般的です。
4.設計・開発
実際にデジタル教材を形にする工程です。
ひととおり開発するまでベンダーにお任せすることも可能ですが、万が一完成品が要件通りでなかったとしても簡単に後戻りできません。
そこで、早期に問題や改善点を発見し、開発の後戻りを防ぐためにも、開発途中で各機能が要件通りにできているかを都度確認していくことをおすすめします。
そうすることで、課題を見つけても修正対応がミニマムで済み、その後工程への影響を最小限に抑えられます。
5.テスト
完成した教材が仕様通りに動作するか、ユーザーにとって使いやすいかを検証するため、実際に利用する環境またはそれに近い環境で使用し、問題がないかを確認します。
テスト手順としては、開発側でのテストの後に発注側での受入テストを行います。
またテスト項目としては、一般的に次の4点があります。
・機能テスト:仕様通りの動作になっているかを確認します。
・ユーザビリティテスト:ユーザーが直感的に使えるか、操作しやすいかを確認します。
・デザインテスト:デザインがOSやデバイスごとに崩れていないかを確認します。
・セキュリティテスト:個人情報を扱う場合、データの安全性やシステムの脆弱性を確認します。
上記のテストを実施し、課題やバグが見つかった時は適宜修正を行い、修正箇所の再テストを実施します。
6.リリース・保守運用
テストで問題が無ければ完成した教材をリリースし、ユーザーに提供します。
アプリの種類によっては、GooglePlayやAppStoreなどのストアにリリース申請をし、審査に合格する必要があるので、その期間も考慮したスケジュールを立てておく必要があります。
また、リリース後は不具合の修正対応を行ったり、ユーザーの利用状況を追跡して必要があれば機能を増やしたりと、定期的にアップデートを行うことでユーザーの継続利用に繋げます。
開発を始める前に押さえておきたいポイント
実際に開発を進める段階になった時に、予算やスケジュールの問題から計画通りに進行しなくなるケースがあります。トラブルを未然に防ぎながら余裕をもって取り組むためにも、次のポイントを押さえておきましょう。
ポイント①:運用フェーズのことも見据えた計画を立てましょう
デジタル教材の企画・開発は、上記のように初期開発だけでなく運用のことも見据えて予算やスケジュールを立てることが重要です。
特に、企画の段階で「何を作るのか」だけにフォーカスするのではなく、「作った後どのように使ってもらうのか」「どのように管理していくのか」まで具体化しましょう。
そうすることで、実用的かつ持続可能なコンテンツを作ることができます。
ポイント②:最初から全ての機能を盛り込もうとしなくてもOK!
ユーザーのことを考えたときに、初めから機能が充実した状態のものを使ってもらいたい。しかし、フル装備で開発しようとすると莫大な費用がかかってしまい、予算の稟議もなかなか承認が下りづらい…。
そんなお悩みもあると思います。
しかし、最低限ユーザーに使ってほしいものに絞って、小規模の開発から段階的に進めていくことで、最初の開発コストを抑えることができます。
どのような段階を踏んで少しずつ機能を充実させていくのかについて、予めロードマップを敷いて考えてみることをおすすめします。
ポイント③:どんなコストがかかるのかを把握しておきましょう
開発規模や想定利用シーンによって必要なコストが変わってきます。そのため、これから開発を検討する際は、上記でご紹介した要件定義の段階で何を作るのか、どのように運用していくのかを詳細に詰めたうえで、必要なコスト項目を把握しておきましょう。
そうすることで、必要最低限のコストで抑えつつ、無理のない範囲で計画的に開発を進めることができます。
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デジタル教材開発では、プロセスの正しい理解と余裕を持った計画が成功のカギとなります。
初めてのプロジェクトでも、本記事を読んで大まかなイメージを掴むことができれば、実際にどのような準備が必要なのか、またプロジェクトの流れをどのように管理すればよいのかが見えてくるのではないでしょうか?
本記事を参考に、デジタル教材の企画を進めていきましょう。
もし、「デジタル教材を作りたいけれど、webブラウザとスマホアプリとでどれくらい費用が異なるのか?」「この場合はどう進めればよいのか?」などお悩みでしたら、下のボタンよりネオスにご相談ください!