教育DXを推進するにあたり、質の高いデジタル教材へのニーズはますます高まっています。デジタル教材を作って教育現場に新たな価値を提供することが求められる一方で、開発には多くのコストを伴います。
本記事では、デジタル教材の開発に必要なコスト項目と、コストをおさえるための方法をご紹介します。
デジタル教材の開発にかかるコストってどんなもの?
デジタル教材開発のコストには、大きく初期開発費用とランニングコストの2種類があります。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
1. 初期費用
デジタル教材の開発において、最初に必要になる「初期費用」には以下のものが含まれます。
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- システム開発費:問題登録、問題演習、ユーザー・学習状況の管理、データ分析など
- コンテンツ(教材)制作費:問題のもととなるテキスト、画像、音声、動画の制作 など
- インフラ構築費:ハードウェアやソフトウェアの構築
2. 保守運用費
開発後は、ユーザーに快適に利用し続けてもらうための整備を継続的に実施する必要があります。
その際、次に挙げるような保守運用費がかかってきます。
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- サーバー・クラウドの利用:アクセス数に応じてサーバーの性能や容量を増強
- コンテンツ追加:既存コンテンツの更新、新規コンテンツの追加
- セキュリティ対策:サイバー攻撃や情報漏洩を防ぐためのシステムの強化、定期的なセキュリティ監査、脆弱性診断など
- メンテナンス:バグ修正や機能改善、新しい技術への対応など
コスト課題の解決策3選
デジタル教材開発におけるコスト項目を見て、かなり費用と手間がかかると思われたかもしれません。
では、開発コストを抑えながら質の高いデジタル教材を作るためにはどう工夫すればよいのでしょうか?
1. 初期費用↘ 小規模な開発からスタートして段階的に規模を拡大
いざ開発を検討すると、やりたいことがたくさん出てきて開発規模が大きくなりがち。
そうなると、初期費用を一度に捻出するのは難しく、また、リリース後に上手くいかなかった場合の損失や修正にもコストがかかります。
そういった場合は、段階的に開発することで、ユーザーの声も取り入れながら徐々に規模を拡大していくのがおすすめです。
例えば、初期は最低限のコンテンツだけ開発し、次にゲーミフィケーション要素、最後に学習ログなどを取れるようにする、という形で、少しずつ機能を充実させていく方法が考えられます。
どのユーザーにも必要と思われる優先度の高い機能にのみ絞って開発し、ユーザーの反応を見ながら必要な機能を随時実装していくことで、1度の開発費を抑えながら持続可能なコンテンツ提供を実現します。
2. 初期費用↘ コンテンツのパターン化
コンテンツの形式をパターン化することで、初期開発工数を最小限にするだけでなく、リリース後のコンテンツ更新・追加の手間を減らし、運用コストを削減できます。
例えば、6つの問題それぞれで問題形式が異なる場合、各形式に合わせて開発する必要があるため、コストが大きくなってしまいます。しかし、問題形式をある程度パターン化して開発することで、類似の形式の問題をパターンに当てはめていくだけで済むため、コンテンツ追加の作業効率化も期待できます。
3. 保守運用費↘ 学習ログを活かして個別最適な教材制作を効率化
個別最適学習へのニーズが高まっている、多様な学習ニーズへの対応は必須になりつつありますが、その対応には多大なコストがかかってしまいます。
そこで活用したいのが、学習ログです。蓄積した学習ログから学習者の進捗や成果を分析し、それを元に新たな教材を制作することで、教材制作コストを削減することができます。
例えば、特定の分野に関する学習が遅れているユーザーに向けて、個別化された問題集を自動で作成して提供することができます。大事な試験前など、苦手な分野だけを集中的に強化したいユーザーにとって、学習ログを有効活用して作成された問題集は非常に役に立つのではないでしょうか。
デジタル教材の開発では、これまで挙げたような工夫を行うことで、コストを抑えることが期待できます。
初期開発にかかるコストだけでなく、長期的に見てどのようにコストを抑えられそうかなど、開発予算を検討する際は多面的に検討して計画することが、教育DXを成功させるカギとなります。