くもん出版様は、子ども達が「自ら学ぶ力」をつけ、夢を持ち、自己実現できる未来に貢献することをミッションとして、教育関連商品や出版物を開発・提供されています。そしてこの度、従来の書籍に加えて音声コンテンツを活用した付加価値の提供にあたり、当社はくもん出版様が刊行しているドリルや問題集と連動した音声が聞ける専用アプリ【きくもん】を企画・開発いたしました。
くもん出版として初となるアプリ事業への取り組みにおいて、どのようにプロジェクトを進めリリースに至ったのか、ご担当された編集部のご担当者にお話を伺いました。
アプリならではの付加価値を追求
―今回のプロジェクトはどのように始まったのでしょうか
小学生向けの英語辞典(「はじめての英語まるごと辞典」)を発売することが決まり、内容と連動した音声コンテンツをCDとして提供するという企画を検討していたのですが、ユーザーが音声学習に取り組む上でもっと最適な方法を探ってみようという話が持ち上がったのがきっかけです。とは言え、社内にはノウハウもなかったので、とりあえず情報を集めることから始めました。
―そこで弊社が出展していた展示会「教育ITソリューションEXPO」にいらっしゃったのですね。
はい、実は以前にも同様の展示会へ行ったことはあったのですが、当時は学校などの教育現場でどういう取り組みをされているのか知っておこうかな、とういう感じで足を運んでいました 。
その点、今回はCDに代わる“何か”を探すというミッションがあったので色んなブースを見て回ったのですが、元々ITについてはあまり知見が無いこともあり、どう相談して良いものかもわからず…。
そもそも複雑なサービスを創ろうと思っていたわけではなく、音声が聞ければいいというシンプルなものをやりたかったのですが、逆にあまりそういった取り組みの出展社が見当たらずにいたところ、ネオスさんのブースに立ち寄った際に担当者の方が声をかけてくださりました。こちらに知見が無いことを踏まえた上で、要件の整理から相談にのってくださったので、その時点から心強かったのを覚えています。
―そこからどのようにアプリ化することが決まっていったのでしょうか
当時はアプリだけでなく、公文式の英語教材でも使用している音声ペンのような形態 や、CDのままいくという選択肢もありましたし、どれが最適なのかを探っているような状況でした。
そんな中御社から、アプリならではの付加価値をつけようということで、学んだ内容が身についているかチェックできるクイズ機能をご提案いただきました。これは学習に取り組む上で子どもたちにとってもすごくプラスになる要素だと思いましたし、従来型のサービスとの差別化にもなるので判断要素としては大きかったですね。
また、うちはいわゆる大企業ではないので、商品ごとに付随サービスやアプリを開発するとなるとかなり負担がかかってしまいます。 今回の試みは辞典だけでなく、将来的には他の教材など書籍全体で使えるものにしたいという想いがありました。そういった背景やうちの商品群を考えたご提案をしてくださったという点で、ぜひネオスさんにアプリ開発をお願いしたいということになりました。
―実際の開発過程における進め方についてはいかがでしたか
そもそもアプリについての知見が無く、中身や製作のフローなども書籍とまったく違うので、今思うと全ての工程においてお任せしきりだったなと…(笑)皆さんにとっては当たり前の、仕様決めと開発でフェーズが異なることすら知らなかったのですが、そこも踏まえてうまく巻き込んでリードしてくださったと感じています。
極端な話、ベースとなる書籍をこちらで用意すればアプリも出来てしまうのではないかとざっくり考えていたので、結果的に手取り足取り教えていただくスタンスで、開発だけでなく運用面のご提案やレクチャもしていただきました。ネオスさんからしても認識の違いなどで苦労されることもあったのではないかと思いますが、丁寧に段階ごとのやるべきことを設定して、説明しながら進めてくださったおかげで大きな戸惑いはなかったです。
―プロセスの共有や不明点のヒアリング等、開発自体とは別のところでの齟齬を生まないためにも認識合わせの場を多く設けることは重要ですね
そうですね、当初はどうしても認識の乖離はありましたし、意思疎通がスムーズにできてくるにつれて気付いていなかった課題が見えてくることもありました。そういった部分は開発フェーズで軌道修正したのですが、その際にプログラマーとして実際に手を動かしてくださっている開発者の方も一緒に入ってくれたのはすごく助かりましたね。何が課題かは見えていても、具体的にどういった調整をすればよいのか、またそれにどのくらいの時間や手間がかかるのかこちらでは全く分からないので、打ち合わせの場で一緒に考えて提案をしてくださったことでスピーディな意思決定が出来たと思います。
―一般的には開発者がフロントに出ることはあまりありませんが、両社の橋渡しとして重要な役割だと考えています
そうなのですね。こちらも社内事情として予算の制約などがある中で、どうすればやりたいことが実現できるのか、時には仕様の変更も含めて柔軟に相談にのっていただけたのがすごく助かりました。
例えばクイズの結果で得点をどう表示させるのが良いか試行錯誤していた際、こちらが具体的な要望を伝えられなかったのですが、プログラマーの方が見せ方だけでなく音などの演出も含めて提案してくださったんです。意図や要望を反映するものになっていて、こちらに寄り添った提案をしてくださったことが嬉しかったですね 。
使われるにつれて成長していくサービスへ
―リリース後、社内での評判はいかがですか
やはりクイズ機能が面白いという評価をされていますね。初めての取り組みでしたが、アプリならではの付加価値をうまくつけることが出来たので、 今後も他の書籍にも展開していきたいと思っています。
また今回を機に、アプリなどのデジタルを活用することで書籍に付加価値をつけることが出来るという認識も社内に浸透し始めていると思います。私たちのいる部署ではもちろんこれからもアプリを活用することが当たり前になっていくと思いますし、既に既存の書籍においても音声データをアプリ化していきたいとの話も出ています。何よりユーザーにとっても便利で使い勝手が良いですし、積極的に活用していきたいですね。
―今後対象書籍が増えていくことで、アプリ内のコンテンツの見せ方や機能もより最適な形を追求していきたいですね。
そうですね、書籍と比べて アプリはリリース後も、どんどんより良くブラッシュアップできるものだということも分かったので、運用していく中で改善していける部分もご相談していきたいと思っています。
今回の開発においても、コンテンツがまだ少ないこともありTOPページの見せ方については工夫する必要がありましたが、例えば「閲覧性をもっと高めたい」というこちらの要望に対して、相談した翌日にはすぐに提案して動いてくれましたし、早いタイミングできっちりと要望を汲み取って反映してくださったと思います。
―今回のようなクイズ機能があれば、ユーザーさんが問題を解いていくことで傾向などのデータがどんどん 溜まります。そこから間違いやすい問題をまとめてコンテンツとして提供する等、さらに新たな付加価値を生むことも出来るので、そういったノウハウや事例のご共有もさせていただければと思っています。
なるほど、そういったデータは書籍メインのうちの事業では得られにくいので、そこもアプリの強みですね。よりユーザーと1対1のコミュニケーションがとれるというか、実際に使ってくれている人の姿や様子が見えやすい印象があります。
そこを活かすことで、使ってもらうほどに成長していけるサービスを目指したいです。
デジタルへの最初の一歩
―今回初めてアプリ事業を手掛けられたことで、デジタルへのイメージが変わったりはしましたか?
デジタルだからこそ、何か不具合や変更が生じてもパパっと直せるんじゃないかとか、このページを無くすだけなら入力されたものを消すだけで出来るんじゃないかと、元々はすごく安易に考えていました。その点、今回開発過程も含めて関わったことで、何か一つ変えるだけでもページ遷移など間に様々な工程や影響範囲があるということを知り、今後取り組んでいく上でも非常に勉強になりました。
繰り返しになってしまいますが、今までうちは紙媒体が中心でしたが、 今回一緒に取り組ませていただいたことで、デジタルなどの技術や要素を便利なものと捉えて組み入れるとプラスになる部分は大いにあると感じることが出来ました。 音声が聞き易くなるなどのちょっとしたことでも、 何か一つ踏み込んだことで、出来ることが少しずつ広がっていくように思います 。
これは私達だけでなく会社としても感じたところで 、すごく貴重な機会になりましたし、今後にも繋がっていくと思っています。
―御社がデジタルに一歩踏み出すお力添えが出来、大変嬉しく思います。この度は貴重なお話をありがとうございました。
書籍連動音声アプリ「きくもん」について
辞典や絵本などをはじめ、刊行物の内容に連動した音声を聞くことが出来る、くもん出版初となる専用アプリ。シンプルかつ分かり易いUIで簡単に操作が出来るため、小学生のお子さまも手軽に一人ひとりが自分のペースに合った学習ができます。
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