ユーザーに義務感からではなく好奇心から学んでもらえる教育コンテンツづくりにおいて、ゲーミフィケーション活用は不可欠です!
実は、そのゲーミフィケーションの考え方にはオクタリシスというフレームワークがあるのをご存知でしょうか?
オクタリシスとは、ゲーミフィケーションについて研究しているYu-Kai Chou氏が提唱しているもので、人を動かすきっかけとなる要素について定義しています。
今回は、オクタリシスについて解説しながら、ユーザーの好奇心を刺激するゲーミフィケーションの活用例についてご紹介します。
思わずのめり込んでしまうゲーム要素とは?
食べるのも寝るのも忘れてしまうほど、ゲームをプレイし続けてしまう…。そ のような、思わず熱中してしまうゲームにはどんな特徴があるのでしょうか?
Yu-kai Chou氏は、ゲーミフィケーションの要素については次のように定義づけしています。
(出典:https://yukaichou.com/gamification-examples/octalysis-complete-gamification-framework/)
2つのアプローチからの動機付け
人間の動機づけになる要素には、大きく次の2つがあります。
- ポジティブなアプローチ(ホワイトハットゲーミフィケーション)
ユーザーが魅力を感じたり、満足感と達成感を得るために挑戦したいという意欲を感じたりさせます。
例えば、夏休みのラジオ体操に通ってスタンプを全て貯めたいから継続して通い続ける、というのがこれに当たります。 - ネガティブなアプローチ(ブラックハットゲーミフィケーション)
ユーザーが損失したくない、機会を逃したくないといった欲求を刺激します。
こちらもラジオ体操に例えると、「最終日に休んでしまうとお菓子やアイスがもらえない…!」 と子供に思わせることが該当します。
上記の2つのアプローチ方法はハッキリと分かれているものではなく、コンテンツの内容に応じて両方が混在している場合もあります。
欲求を生み出す8つの要素
さらに、ユーザーの「やりたい!」という欲求を生み出すための要素は全部で8つあります。ここでは簡単な概要をご紹介します。
- 壮大な意義と使命感
プレイヤーが「自分は特別な使命を持っている」と感じることで動機付けられます。典型例としては、Wikipediaやオープンソース活動への貢献が該当します。 - 成長と達成感
スキル向上や課題克服による達成感がプレイヤーの原動力となります。バッジやプログレスバーなどが、プレイヤーの動機付けとして取り入れられることが多いです。 - 創造性
創造性を発揮できることで満足感を得ることを利用して、様々な遊び方の組み合わせを提供して、プレイヤーが試行錯誤しながら遊べるようにすることで、コンテンツがより長続きしやすくなります。 - 所有と収集
「自分のもの」という意識が強まると、それを発展させたり増やしたくなったりします。特に、アバターやプロフィールのカスタマイズ、コレクション要素がこれに該当します。 - 社会的影響とつながり
競争、共感、帰属意識などの社会的要素が動機となります。例えば、友人の成功に刺激を受けたり、懐かしさを感じる商品に惹かれたりする心情的な面もこれに含まれます。 - 希少性と待機
「手に入りにくいからこそ欲しい」という心理を利用したものとして、時間制限のある報酬や、ユーザーのみにアクセスを限定することなどが、プレイヤーの行動を起こす動機付けとして取り入れられています。 - 予測不能性と好奇心
「次に何が起こるかわからない」ことで脳が活性化され、よりプレイヤーの興味を引きます。くじ引きやギャンブルの依存性もこの要素に関連します。 - 損失回避
「失うことを避けたい」という心理を利用し、過去の努力を無駄にしたくない気持ちや、期限付きの機会損失への焦りが行動を促します。
上記の要素を取り入れると、どのようなコンテンツが作れるのか、次の章で実例をもとにご紹介します!
思わずプレイしたくなるゲーミフィケーションの活用事例
ネオスが企画・開発した「あそべるずかん 昆虫クエスト」では、8つのうち7つの要素を取り入れており、その結果、今では 多くのお子様に遊んでいただいている大ヒットコンテンツになっています。
実際に、どの要素を、どんな形で取り入れているのかについて解説します。
①ユーザーが主体となって物語を進める
<意義・使命感を生み出す要素>
・ユーザー自身が主人公となる
・日本全国を冒険しながらストーリーを進める
・昆虫カードを集め、各地のボスに勝利して「昆虫マスター」を目指す
⇒ユーザーが「昆虫マスター」を目指して日本全国を周るという、ゲームをプレイするための意義を与えることができ、没入感を生み出します。
<予測不可能性・好奇心を生み出す要素>
・ストーリーの内容で次の展開に期待させる
⇒バトルに勝利した後や、新たなエリアが解放された後にはどんな物語が待っているのか、ユーザーの期待を駆り立てる展開にすることで、ユーザーの好奇心を刺激することができます。
②クエストに挑戦
<成長・達成感を生み出す要素>
・ストーリーを進めるとクエスト(ミッション)が出現する
・クエストをクリアすると報酬(カードやコイン)やストーリーが進む
・進めるとどんどんクエスト難易度が高くなっていく
⇒ユーザーが次に起こすべき行動を細かく設定することで、適度なレベル感と頻度で達成感を与えることができ、継続的に挑戦したくなる仕組みになっています。
③ユーザーの興味に合わせて様々なことができる
<創造性を生み出す要素>
・サイコロを自分で振って、自分で行く場所を選択できる
・好きなペースでプレイできる
・好きな昆虫カードを集めて強くできる
・ひたすらバトルをしても良いし、昆虫クイズにチャレンジしても良い
⇒ユーザーは試行錯誤しながらゲームを進めることができるので、満足感を得やすくなります。
④カードコレクション
<所有・損失回避を生み出す要素>
・ボスキャラとの戦いに勝利するとレアカードを獲得できる
⇒バトルに勝って昆虫カードを集めることに所有・損失回避の要素が含まれています。
<希少性を生み出す要素>
・カードや敵キャラクターにランクをつける
⇒まさに「手に入りにくいものだからこそ欲しい」という心理を利用するかたちで、希少性の要素が加わっています。
多くのユーザーに愛されるコンテンツの多くは、上記のような要素が取り入れられていることが多いです。
継続して楽しんでもらうためには、要素の数の多さだけでなく、それぞれの要素の質も重要です。
特に、予測不可能性が出ているストーリーになっているか、収集欲をくすぐる魅力的なカードやキャラクターか、達成感を与えられる難易度設定になっているか、などを精査することも大事です。
ネオスでは、これまで様々なゲーミフィケーション要素を取り入れつつ、魅力的なキャラクターづくりやシナリオの制作を通して、数多くの知育・教育コンテンツを企画・開発してきました。
効果的なゲーミフィケーションを 取り入れて、ユーザーの好奇心を刺激するコンテンツを作りたいとお考えでしたら、ぜひネオスにご相談ください!